遊漁船、特に乗合船では釣り座の優劣があることはご存知でしょうか。
乗合船で同船するライバルたちに競り勝つためには釣り座の優劣を理解することが大切です。
釣り座には必ず有利な潮先(潮上)と不利な潮後(潮下)が生まれます。
自分の釣り座が潮先なのか潮後なのか理解し、
それぞれの釣り座に合わせた戦略を立てることが大切です。
ここでは釣り座の優劣を判断する方法と各釣り座にあった戦略を紹介します。
釣り座の優位性をしっかり理解し、適切な戦略をとることで、
同船者に魚を取られて悔しい思いをしないようにしましょう。
自分の釣り座は潮先?潮後? 釣り座の優劣の判断方法
自分の釣り座が有利な潮先に位置しているか、不利な潮後に位置しているか、
潮に乗って流れる船の進行方向に対して自分の釣り座が面しているかどうかで判断できます。
潮先とは船の流れる方向の釣り座のことを言い、
潮後とは船の流れる方向の逆方向に面した釣り座のことを言います。
すなわち船を流して魚のいるポイントに入ったときに、
一番最初にポイントに入る人を潮先(潮上とも)、一番最後にポイントに入る人を潮後(潮下とも)といいます。
船の流れる方向は潮流の流れる方角さえわかれば判断できますが、
問題は船がどっちの方角を向くかが大事で、
船の向く方向は風向きによって変わります。
船は必ず船首から風を受けますので、
潮流の方向と風向きが同じであれば、
船尾の人が潮先になります。
船に乗って釣りをする際には、常に自分の釣り座が潮先なのか潮後なのか、
はたまた中間なのか認識して釣りをすることが大切です。
同じような釣り方をしている人が自分より先に自分のと同じポイントに仕掛けを
通しているのであれば、同じやり方をしてもまず釣れません。
後述する潮後ならではの戦略をとるか、潮先の人と違う仕掛けを使うか、
なにかしらの対策が必要になります。
ちなみに潮先のことはよく潮上、
潮後のことは潮下と言われたりします。
あまりにも定着したこの表現ですが、
実は正しくなく言い方で、本来潮上という言葉は潮流の流れる方向に対して、
上流側のことを指します。
例えば漁礁の潮上側といった場合には漁礁にぶつかる潮流の上流のことを指します。
なので船の釣り座でいえば、潮上といった場合には船の上流側のことを指すはずですので、
潮後のことを指すことになります。
ですが、どういうわけか船で潮上といった場合には潮先のことを言います。
混乱を避けるためにも釣り座の優劣を語る場合には潮先・潮後といったほうが良いかと思います。
釣り座別攻略法
釣り座別攻略法と銘打ったものの、潮先の人が基本的には有利です。
釣り座が選び放題なら潮流と風向きを読んで、
確実に潮先の釣り座を抑えることが肝要です。
ただ、釣り座が予約順であったりくじ引きであったり、
なかなか選び放題というのも珍しいかもしれません。
潮先に入れなかったときに取るべき戦略について、
以下でご紹介します。
最も潮後に入ってしまった場合
まずは最も潮後、すなわち船の流れる方向に対して最後尾の釣り座に入ってしまった場合の戦略です。
当然最後尾は最も魚に出会う可能性が低い釣り座で、
同船者の多くが仕掛けを通したあとのポイントで釣りをしなければなりません。
しかしながら最後尾に入った場合、軽いウェイトのおもりを使用することで、
船の潮後側に仕掛けを流し、ポイントを広く探ることができます。
通常乗合船では同船者のおもりの号数やPEラインの太さを揃えることで、
仕掛けがおまつりしないように釣りをしています。
同船者より軽いウェイトのおもりを使用するとほかの人の仕掛けより潮後側に流れることになるので、
潮後側の人とおまつりするからです。
ところが、最も潮後の最後尾の釣り座にいる場合は、自分の潮後に同船者は居ませんから、
おまつりすることがありません。さらに潮後側に仕掛けを流すということは、
キャスティングした時と同様に仕掛けを斜め方向に通すことになり、広範囲を探ることができます。
さらにタイ釣りのポイントでよくある、潮流が複雑で円を描くように船が流れる場合、
軽いウェイトのおもりを使用することで同船者と違う筋で仕掛けを流すこともできます。
くじ引きやじゃんけんでの釣り座選びの際、潮先のポジションを同船者に取られてしまった場合は、
中途半端に真ん中のポジションを取らずに思い切って最後尾のポジションを取ることをお勧めします。
ちなみにおもりを軽くする代わりに、PEラインを太くすると同じ効果がありますが、
リールやタックルをもう1セット用意しなくてはなりませんし、
転流して自分が潮先側に入った際には、タックル交換が必要になりますから、
すぐに交換できるおもりで対応するほうが良いでしょう。
潮先でも潮後でもなく、真ん中の釣り座に入った場合
真ん中のポジションは自分で釣り座の選択ができる場合には最も避けるべきポジションになります。
潮後にも同船者に仕掛けがありおまつりしてしまうので、上述したおもりを軽くする戦法も使えず、
すぐ潮先の同船者の仕掛けの後ろで同じ魚を狙うことを強いられているポジションになります。
このポジションに入ってしまったら基本的には同船者と違う筋を釣ることを心がけなくてはいけません。
同船者と違う筋に仕掛けを通す最も簡単な方法はキャスティングすることです。
ルアー系の単純な仕掛けに限定される手法にはなりますが、
キャスティングして仕掛けの投入位置を離すことで、簡単に筋を変えられます。
逆に言えば、潮先にも潮後にも同船者がいる場合にはキャスティングしか有効な手立てがありません。
ルアー釣りであれば潮先の人とは異なるルアーを使って差別化を図るというのも有効です。
これは最後尾に入った人にも言えることですが、自分の潮先の人とルアーを変えることで、
潮先の人が釣ることができない魚を狙うことができ、場合によっては潮先の人より釣果を上げることもできます。
餌釣りの場合には潮先の人と差別化できない場合が多く、多くの場合キャスティングもできないので、
これと言って対策がありません….。
何とか潮先のポジションに入れるように祈るのみです。
まとめ
乗合船では必ず同船者がいる中での釣りになり、同船者と自分のポジションの違いは釣果に大きく影響する要素です。
特にルアーのように仕掛けのセレクトの余地が少ない餌釣り、船タコ釣りやカワハギ釣りといったタナが底中心の釣り、他サビキやメバルサビキのような潮流に対向して餌待ちしている魚の群れを釣る釣りなど、潮先/潮後といったポジションによる影響が支配的な釣りもあります。
運よく潮先が取れればよいですが、船のルールによってはなかなか潮先のポジションに入れるものでもありません。
その中でよい釣果を上げるためには、同船者の仕掛けの筋が自分の仕掛けの筋と同じか違うのか、
その点を見極めることが肝要になります。
乗合船に乗った場合には常に同船者との相対的な自分のポジションを理解し、
どのように釣りをすれば潮先にいる同船者と違う魚を釣ることができるのか、
本記事で紹介した小技を駆使しして戦略的に釣果をあげましょう。
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